家での看取り

総合病院に通院していた、癌の患者さん。
食欲不振、倦怠感が強くなり、抗がん剤の治療の中止を希望されました。
通院も難しくなり、病院の医師が緩和ケアのある病院を勧められましたが、
自宅に帰って、当院での治療を希望されました。

奥さんが、往診の相談に来院され、午後に往診をしました。

患者さん自身も家族も、家での看取りを希望されていました。
患者さん、家族と相談して、今後の治療を考えました。

・酸素が低く、在宅酸素療法を開始。

・糖尿病でインスリン注射をされていたが、食べられないので、中止

・痛みに関しては、薬が飲めなくなっており、痛みを和らげる皮膚に貼る薬を開始。

(普通の湿布とは違って、貼って全身に効く痛み止めです)

・介護保険を申請して、電動ベッドなどを入れていただく。

・訪問看護ステーションを紹介し、看護師さんの訪問も開始。

 

治療を開始して約10日後に、患者さんから「モグラの私がこの穴から出られるでしょうか?」
と質問され、「難しい質問ですね」とお答えしまいた。

痛みが強くなり、同じ貼り薬でも麻薬の貼り薬を一緒に使用しました。
徐々に麻薬の貼付剤の量を増やして、癌の痛みを和らげる事に努め、
5日後に亡くなりました。

奥さん、娘さん夫婦に囲まれて、静かに旅立ちました。

約20日間の短い期間でしたが、家族に囲まれ、お家で暮らすことができました。